公益財団法人 交通事故紛争処理センター

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センターのご紹介

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理事長挨拶

 公益財団法人交通事故紛争処理センターは、1974年2月に、交通事故裁定委員会を前身として発足し、以来、先導的なADR機関として、交通事故被害者の中立・公正かつ迅速な救済を図るため、自動車事故による損害賠償に関する法律相談、和解斡旋及び審査業務を無償で行ってまいりました。
 発足以来、当センターが昨年度までに受付けた相談取扱件数(新受件数)は、累計で約25万9千件に上り、その内、約18万1千件について示談が成立しました。最近のデータでは、和解斡旋等により終結した事案における示談成立の割合は約90%になっています。
 なお、2022年度についても新型コロナウイルス感染拡大の防止の対応のため、和解斡旋については、地域の実状に応じ来訪による面談ではなく、通信の方法による取扱いにも対応しました。また、デジタル技術の進展を踏まえ、Web会議システムの利用や、業務全般の標準化とシステムの活用を進める等、当センターを取りまく状況の変化への対応を進めています。

 近年、自動車の運転支援装置の普及が進んでいることなどもあり、全国の自動車事故は、発生件数、負傷者数ともに減少し、当センターの新規受付件数も減少傾向にありますが、自動車事故によって未だに多くの方が死傷されており、その被害実態には依然として厳しい状況が見られます。また、高齢社会の到来や家族構成の変化、労働環境の変化などの社会経済の構造変容も相俟って、損害賠償の紛争も複雑化しており、事故に遭った当事者の紛争解決を図るADR機関としての当センターの役割に対する期待は、今なお高いものがあると考えております。

 このような状況を踏まえ、当センターは、和解斡旋を希望する利用者の実際のニーズに迅速に応えるよう努めるとともに、業務運営全般について常に見直しを図りながら、利用しやすく質の高いサービスの提供に努めております。

 2012年4月に公益財団法人に移行後は、自動車事故に関する紛争解決業務を公益目的事業と位置付けて、積極的な推進を図り、相談窓口の拡充及び利便性の向上や広報活動の強化に取り組んでおります。
 また、被害者本人が賠償問題の知識がなく交渉に不慣れであっても、安心して利用できるように情報発信に努め、随時、ホームページや広報ツールを見直すとともに、引き続き、地方自治体や各地の交通事故相談所との連携強化を図ってまいりました。

 当センターは、2024年2月に創立50周年の節目を迎えます。公益法人としての社会的責任を常に自覚するとともに、ADR機関として引き続き重要な役割を果たし、裁判例等を参考に、公益目的事業である自動車事故に関する紛争の和解斡旋及び審査業務を通じて、交通事故被害者のための中立・公正かつ迅速な救済を図っていくことにより、なお一層公共の福祉の増進に寄与することができるように努めてまいりますので、皆様の更なるご指導、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

2023年8月
理事長 新美 育文
(明治大学名誉教授)